10/27は、最後の寄港地大船渡に着岸して、ツアーで三陸鉄道に乗る。三陸鉄道でも南の方の釜石駅までバスで行き、そこから盛駅までのコースである。釜石と言えばラグビーの新日鉄釜石。ただ駅前は製鉄所はあるものの、店や施設等は全然無く少し寂しい雰囲気がした。海岸沿いを電車で行ったのだが、リアス式海岸なので、山やトンネルの合間に海が見えるといった感じで、その時折の海岸の風景は、天気が良いこともあり絶景であった。ただ海岸沿いの陸地は、田んぼや畑ばかりで民家は無い。そのあたりが東日本大震災の津波の爪痕を感じた。
より一層その思いを強くしたのが、そのあと陸前高田の「奇跡の一本松」を見た時だ。一本松の隣には壊れたユースホステルがそのままになっていた。少し離れたところに米沢商会ビル。その三階建てのビルを飲み込むまで津波がおしよせたが、てっぺんの煙突の部分でそこの社長さんが助かったそうだ。他にポツンポツンと建物があるものの、基本的には海岸沿いには家が無く、かなり先の高台に民家は移っていた。このあたり一帯が津波に飲み込まれたと思うと、胸が締め付けられる思いになる。
一本松は近くに寄ると思ったより高かった。写真で撮ろうとと思うと、かなり引かないと全体が入り切らない。てっぺんには避雷針があった。これをある意味人工的に残すことは賛否いろいろあったみたいだが、こうして実際見てみると、バックのユースホステル、そしてだだっ広い周りの風景も含めて、我々のような「外部の者」でも十分に当時の惨事を思い起こすことが出来る、素晴らしいモニュメントだと思う。しばらく360度の風景をゆっくりゆっくり身体に馴染ませることが出来た。十分に目に焼き付けて、次第に夕焼けに染まる風景を後にした。
翌朝、横浜への航海の途中、福島原発を遠くに見た。右舷の部屋で本当に良かった。三陸鉄道から見た海岸、陸前高田の一本松と周りの風景、そして福島原発と、今回のクルーズのフィナーレはこれなのかと考えさせられた。
今回の日本一周クルーズは、昨年の一周クルーズ以上に面白かったな。寄港地では全然期待してなかった仙崎が印象深かった。なんか歳を取って、女房もそうだが、派手な観光地より、思わぬ発見のある鄙びた街がうれしい。船での過ごし方も、もちろん甲板アルキと露天風呂を楽しんだが、今回初めて映画を観た。今まで映画なんていつでも観られるものを、船で観るなんてもったいないと思っていたのだが、クルーズを日常と考え、肩肘張らずに自然体で生活するほうが得策と考えた。「陸地」で観られる映画を、あえてその時観たければ観るのが良い時間の使い方だとなんとなく気付いたのだ。映画は4本観たかな。ちょうど当時観たかった沢田研二の「シネマの神様」もやってたし。
10/29に、無事横浜帰港。ただそれからが大変だった。電車で家まで帰ったのだが、貴重品を入れたバッグを電車の中に忘れたことに気づく。キャッシュはもちろん、クレジットカード、マイナンバーカード、キャッシュカード等、全てが入っている。忘れた場所は分かっている、横浜から乗った総武線の車両の中だ。それが津田沼止まりだったので、津田沼駅に電話した。そうしたら津田沼駅で車内は確認するのだが、該当の落とし物は無いということ。そのまま津田沼から幕張本郷の車庫に行っているから、そこを探してもらったら出てきた。
ただ財布の中身でカード類はあったが、現金は減っていた。現金を確実にいくら持っているかはどうせ証明出来ないから、あえて不問にして受け取ったが、あとでゆっくり思い返して、30万円ぐらい財布に入っていて(少し前に銀行から引き出していた)、12万円ぐらいしか残ってなかったので、18万円ぐらいは抜き取られていたと思う。電車はグリーン車の一階部分に乗っていて、そこの乗客は我々夫婦とおばあさんだけで、終点の津田沼でおばあさんを先に降ろして、我々が降りた。乗客がその車両にそのあと入る可能性はない。津田沼の車両点検で見つからないわけがなく、多分JR津田沼での点検係の仕業であると思う。それか幕張本郷車庫でのバッグ見つけた者。
そう思うのはもう一つ大きな理由がある。同じバッグにクルーズの乗船券(船の部屋のキーを兼ねる)の入った定期入れのようなものも入っていたのだ。下船するときにそれを使い、そのままバッグに入れた。それも無くなっていたのだ。外見は定期入れに見えたのかもしれない。スイカなんか入っていると思ったかもしれない。ただ乗船券しかいなく、今となっては全く無用のものである。それが無くなっているので、誰かがバックを開けて乗船券を取ったのは確実だ。その際現金も抜いたのであろう。
まぁ、クレジットカード等が無事で良かった。再発行を考えると、クレジットカード3枚、キャッシュカード2枚、マイナンバーカードと、気が狂いそうになる。それだけでもホッとしている。ただよくテレビでやっている、外国観光客「日本で落とし物をしても帰ってくる」という神話は今回は例外だったということだ。授業料としては安いのかもしれないが、なんか楽しかったクルーズが汚される気がしたな。

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