8/22は関西に行った。まず神戸。10年程前に仕事で造船所に行って以来だから、本当久し振り。もっと言えば、学生時代はこの地で暮らしていたので、懐かしさも手伝って、「久し振り感」が増幅したのかもしれない。
新幹線新神戸駅近くの、竹中大工道具館に行った。昔からの大工道具が展示してあり、その変遷を説明してもらった。昔の建物は、このような道具でそしてやり方で造られていたのかということを、丁寧に教えてもらって、今更ながら昔の人はすごいなと思った。同時に、中国や欧州の道具も比較して展示してあったが、日本の素晴らしさが際立っていた。日本の技術の素晴らしさは木の扱いに現れている。初期の頃は大工さんが山から木を伐りだしていたそうだ。その木目、ねじれを、例えば柱にする時に方角等を考えて選んでいる。我々の知らないところで、プロの技とこだわりが建築物に詰め込まれている。日本の昔からの木造建築が、自然災害を乗り越えて現存している様にちゃんとした理由があり、同じ日本人として誇らしく感じる。
宮大工からのゼネコンの代表的な会社は、竹中工務店と清水建設があるが、どちらも日本の伝統を守り素晴らしい会社だ。日本にはたくさんの神社仏閣や歴史的建造物があるが、いつもそういったものを見た時、よくこんなものを建てることができたなとか、昔の日本人って凄いなとか感じる。最近の建物もすごいものがあるが、そのデザイン性はある程度認めるものの、やはり「人」とは遠い機械化の産物だと感じてしまう。昔の建物はアナログ感がして、そこが自分と比較しての生身の人間としての敬意とか感動に繋がっていくのだと思う。この建築業界は、そういった古き良きものが将来に繋がる、個人にとって遣り甲斐のある稀有な業界だと思う。現存する古い建物の維持や修復も、この2社が中心となってやっていると思うが、会社の決算を度外視したそういった業務にエールを送りたい。現場はもちろん厳しいと思うが、日本の産業として大切にしていくべきだと思う。
続いて京都に行き、パークハイアット京都で夕食を楽しんだ。このホテルも上手に木が使われており、控えめに表現することにより、ゆったりとした気持ちにさせてくれる。ともすれば一部海外のホテルなどは過剰な演出がなされ、日本人には違和感が生じることが多い。このことに限らず、物事には勇気ある引き算が重要であることを思い知らされる。食事は鉄板フレンチで、ちょうど夕陽の沈むときで、八坂の塔が正面に見える目の前の眺望が素晴らしかった。鉄板でのフレンチはひょっとしたら初めてなのかもしれない。京都ならではの鱧、甘鯛、京野菜の料理が、それぞれ美味しいソースに絡んで、おかげでワインも進んだ。食事の後は、夜も遅いので、千葉には直接帰らず名古屋に泊まった。チェックイン後、馴染みのショットバーに行きウイスキーを二杯。マスターと楽しい馬鹿話をして、気持ちよく酔っ払ってホテルに戻った。
翌日は母の施設退去の手続きを済ませ、早い時間に新幹線に乗って帰った。実は帰りの新幹線での楽しみがあり、6月に餞別でもらった携帯用のワイングラスを使いたく、やっと今回実現させた。今までスキットルでウイスキーを車中で飲むことがあったが、ワインをマイワイングラスで飲んだ経験は無く、せっかく友人(後輩)にもらった素敵なネーム入りのワイングラスを早くデビューさせたかったのだ。ただ前日の酒量が最近の私には多すぎたのか、駅売店で買った僅か250mlのワインが全部飲めなかった。午前中ということもあってか、早々と酔ってしまってダウン。こんなに酒に弱くなった私が、車中で、新幹線で、あえて仰々しく飲む必要があるのかと、多少自己嫌悪に陥った。まぁでも、やれる時になんでもやればいいやと開き直るしかないもんな。
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