参議院選挙

雑記

昨日参院選。今朝すべての結果が確定した。自民、公明の与党が参議院で過半数を維持できず、あらたな政局に入ったと思う。先回の東京都議選の時からそのような兆候はあった。ただ地方選挙と国政とは違う。正直ここまでの結果になるとは思わなかった。

今回の選挙の争点は、物価、景気、雇用、消費税等。これらは互いに関係しあっている。すなわち生活が苦しくなってきた結果であり、それは雇用条件(給料)と物価とのバランスの悪さに起因している。そのバランスの悪さの解消のための給付金と消費税減税なのだが、各党のそれらの主張はその場限りのバラマキのような感想を持った。本当に政治家の力が低下しているのだな。なにも頭を使っていない素人の政策の数々。なかにはもっともな政策もあったが、残念ながらあまり人気が無かったように思う。それは結局国民が悪いのか。景気に関してはこの30年低迷のままである。低迷といっては言葉は悪いのかもしれない。安定という言い方もできる。個人的にはそれでも良いとも思える部分もあるが、他諸外国の成長のスピードと比べれば日本は大きく見劣りする。ジャパンアズナンバーワンの世界を知っており、日本を誇らしいと思っていた時期を経験している身としては残念ではある。ただその間物価は安定していた。この異常に安い物価環境で、正規非正規の問題も含め若者がそれほど働かなくても生活が成り立つようになった。そしてその余った時間で楽しく生活を送ろうという風潮になったと思う。それはそれで正しい(私個人はそうは思わないが)。それがこの一、二年物価が数パーセント上昇して慌てている。ただ冷静に見て欲しい、この日本の物価も上がったとは言え外国と比べたらまだ異様に低いのだ。そのあたりの事実を物価が高い高いと言っている人たちは、政党はどう考えているのか。これは先ほどの景気の問題と同じである。失われたと言われるこの30年の評価。私は全て否定するものではないと思う。ただ諸外国との関連性で政治の舵取りは間違えたと思っている。この30年から脱却しようと思うと、物価のこんな程度の上昇は容認しなくてはならない。そして金利上昇も。景気が悪くその中でも会社の業績を上げようとするならば、経営者としては、一つは売上(売価)を上げなければならない。しかし市場売価を上げると非難する消費者や団体が出てくる。そうするとそれを避けるため売上固定を維持するならばコストカットしかない。そしてコストの大きなものは人件費である。物価に文句を言う者は実は自ら給料を上げない主張をしているわけである。他に利益を上げるにはあとは効率化という方法がある。効率の良い部分に力を集中させるわけだ。それが進むと大きな企業に小さな企業が吸収され規模の論理で乗り切ろうとすることになる。小売業でいえば、この30年に個人店が激減している。大きなスーパーのモールばかりが増え、地元の小さな商店街が無くなり、街の特徴が文化がどんどん消えていく。これが我々が望んだ姿であろうか。その結果企業格差が広がり、個人の収入格差も広がり、全体の消費効率も悪くなる。この30年の経済の方向性がゆがんでいたのだと思う。これは政治問題である。この日本をどういう方向にもっていくかのビジョンが無かった。その間大企業とマスコミから発せられる圧力に屈して問題を先送りしていた。そして今回そのツケが噴出したと思っている。

消費税の問題は、やはり財源を減らすのは問題である。あとで述べるが今後お金が必要になる。今回の争点になった問題は、ある種全てが複雑なトレードオフ関係にあり、良い所どりは出来ない。その辺ははっきりさせなくてはならない。ある部分では痛みが伴うことを。ただ本当に言いたかったことは、今の日本にはもっと重大な問題があるだろうということ。責任ある政治家はその辺のところを国民に説明しなくてはならない。

世界に目を向ければ、ウクライナへのロシアの侵略、イスラエルの中東諸国への攻撃、アメリカトランプの関税問題等、ここ2、3年で大きな変化が生じている。ジャックアタリが人類の脅威として三つ上げている。①環境と気候変動。②核戦争。➂AI遺伝子工学による人間の人工化である。著しく同意する。そしてその脅威はすでにそこまでやってきている。最初に書いたロシア、イスラエル、アメリカは核保有国であり、結局はそれを背景に理不尽なことをやっているのだ。暴力団と変わらない。日本としても、そういった危機がすぐそこまで来ていると自覚し、それに対応する政治をしなくてはならない。①の問題については、石破総理が主張している国土強靭化は的を得ている。能登の現状をみても、あるいは遡って福島の現状をみても、もっと国として力を入れて欲しい。予算をつけて欲しい。今後このような災害は毎年のように起きるだろうし、橋、道路、下水管等のインフラも一新しなくてはならない。②は国防の問題をもっと真剣に考えなくてはいけないということだ。といって核武装しろということではない。原子力発電も含めそれらのことは私は反対である。だったらどうすればよいか。一つは国としてサイバー部門の圧倒的な強化である。もう一つは、絵空事になるのかもしれないが、科学の力で核兵器をリモートで無力化する研究をしてほしい。日本人の英知で是非やって欲しいし、その研究に国としても力を入れて欲しい。➂は人間にとって何が幸せかを見定める必要がある。先ほど、経済の効率化企業の合理化で、街の特徴がなくなり文化の感じられないつまらない街になったということを書いたが、それの人間版である。失われた30年の話もしたが、成長だけが正しいことではないということを言いたかっただけだ。ジャックアタリの言ってた三つの脅威を、国レベルで、日本人日本文化をしっかり見つめ対応してもらいたい。

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